大腸カメラとは

大腸カメラとは

正式には、大腸内視鏡もしくは下部消化管内視鏡と呼ばれます。この検査機器を用いることで、直腸や結腸だけでなく、盲腸の内部まで検査が可能で、小腸の一部もその範囲に含まれます。肛門から挿入していくもので、スコープの径の太さは11~13㎜程度あります。大腸内部の病変(炎症、潰瘍、ポリープ、悪性腫瘍 等)の有無を観察していきます。検査時にがん等の病変が疑われれば、内視鏡で一部を採取し、顕微鏡を用いての検査(生検)も行います。またポリープを発見し、除去できると判断した場合は、内視鏡で切除することもできます。

同検査は、大腸がんの早期発見に役立ちます。ちなみに大腸がんは、日本人女性のがんによる死亡者数の第1位で、男性では第2位となっています。なお大腸がんは早期の段階で自覚症状が現れにくく、多くは、健診での便潜血検査、血便等で気づくようになります。40歳を過ぎた頃から発症率が上がるようになるため、各自治体で行われている大腸がん検診も40歳以上を対象としています。早期に発見することができれば、予後は良いとされていますので、40歳を過ぎたら定期的に大腸カメラを受けられることをお勧めします。

大腸カメラによる検査をした方がよいとされる方

  • 便潜血検査の結果が「陽性」
  • 血便が確認された
  • 痢や便秘がよく起きる
  • 急激に体重が減少した
  • 腹痛やお腹の張りを訴えている
  • 貧血の症状がみられる
  • 大腸がんや大腸ポリープを治療した経験がある など

大腸カメラで発見されやすい
病気

大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸粘膜下腫瘍、感染性腸炎 など

苦痛はできるだけ低減します

先にも述べましたが、検査時は肛門から逆行する形で内視鏡を挿入していきます。大腸は曲がりくねった構造をしているため、内視鏡を挿入していく際に腸が伸ばされることもあり、その際に空気も腸内に入ることになります。これがお腹の張りや腹痛の症状を訴える原因にもなるわけです。希望者にはセデーション(鎮静)により意識が薄らいだ状態で楽に検査を受けることもできます。

大腸カメラによる検査の流れ

  • 大腸カメラの予約をする

    同検査を希望される場合、事前に外来をご受診ください。診察の結果、大腸カメラの受診が可能となれば、日時を予約します。なお検査をするにあたって、感染症の有無を調べる血液検査をすることがあります。また常用薬のある方は、診察時に医師に伝えます(種類によっては休薬の必要があります)。服用している薬がわからない場合はお薬手帳をご持参ください。日時を予約された方は、医師もしくは看護師から検査を受けるにあたっての注意点等の説明があります。

  • 検査前日

    消化の良い食べ物を選んで食べるようにします。前日の夕食は、おかゆ、素うどん、具のない味噌汁など簡単なものにします。当院では、検査食(有料)をご用意することもできますので、何を食べればよいかわからない場合は、お気軽にご相談ください。なお夕食に関しては、遅くても21時までには済ませてください。なお水分につきましては、水やお茶であれば制限されることはありません。このほか、夕食を終えてから眠りにつくまでの間に下剤を服用していくこともあります。

  • 検査当日(起床~来院)

    常用薬に関しては、医師から制限を受けているものでなければ服用できます。検査が終わるまで絶食しなくてはなりませんが、水分(お茶や水)は無制限です。来院された後ですが、検査時は腸内を空っぽにする必要があるので下剤(腸内洗浄液)を何度かに分けて服用します。その後は、何度もトイレを往復することになります。便の色が透明になれば腸内に何もない状態ですので、検査が受けられるようになります。希望者には検査の際にみられる痛みなどを軽減すべく、鎮静剤を使用していきます(セデーション)。検査当日は、ご自身の運転(車、バイク、自転車 等)による来院は控えてください。

  • 検査時

    アクセサリー等の貴金属類は全て外し、検査着に着替えます。検査台に横たわってから希望者には鎮静剤を投与します。その後に検査開始となります。肛門から内視鏡を挿入していきます。鎮静剤使用者は意識が薄らいだ状態になるので、痛みなどの苦痛を感じにくくなります。直腸や結腸といった大腸内腔を観察し、病変の有無等を観察していきます。なお、がんなどが疑われる組織があれば一部を採取し、顕微鏡で詳細を確認します(生検)。また、切除可能なポリープがあれば、その場で切除することもあります。観察のみであれば、検査時間は20分程度です(個人差はあります)。

  • 検査終了

    セデーション(鎮静)を行った場合は、検査を終えてもしばらく院内でお休みいただきます(60~90分程度)。その後、医師あるいは看護師から検査後の注意点の説明を受けた後にご帰宅となります。結果については、後日来院して医師から説明を受けてください。

大腸カメラ検査後の注意点

  • 食事は、検査終了後1時間ほど経過してからにしてください(観察のみの場合)
  • お腹が張っていくので、オナラは我慢せずに積極的に出してください
  • 生検やポリープ切除をした場合、当日の激しい運動は避けます。またお風呂に関しては、シャワーを浴びるのみにしてください(当日のみ)。刺激の強い食べ物や飲酒は、3日程度は控えます。
  • 排便の際、血が少し混じった便が出ることがあります。